木小舞と土壁の美しい家














●大工の腕が頼りの木舞組み

土間風の玄関を入ると、木の家ならではの柔らかい光に出迎えられます。引越し間もない室内は、車の通る戸外よりもすがすがしい、森の中のような空気に満たされていて、思わず深呼吸してしまいます。そう、この家のいちばんの特長は「空気」、そしてその空気を生み出す壁にあると言えるかもしれません。なんとこの家は住居にはとても珍しい土壁を採用しているのです。

エアコンの冷暖房が苦手で、できるだけ自然に近い暮らしをしたい、というご夫妻に、設計士の横田都志子さんは昔ながらの土壁を提案しました。冬は暖かく、夏は涼しくすごせて、調湿作用や空気清浄などの作用も期待できるすぐれものの土壁ですが、土台となる小舞は緻密な技が要求される職人芸。数センチ間隔で縄と木とで格子を組んでいく作業は、「あらい建設」の熟練の大工さんでも大変な時間と集中力を遣ったそう。また、外壁としての強度を確保するためには、しっかり発酵した良い壁土を使わなくてはならないと、わざわざ取り壊す土蔵を探して手に入れたのだそう。こうして完成した土壁ですが、自然の色は目にやさしく、驚くほどモダンな印象を与えます。

●家族を結ぶアイランドキッチン
リビングダイニングの主役は、作り付けのアイランドキッチン。「家事をしていても孤立しない、みんなとどこからでも話ができる、という点で、アイランドキッチンは絶対、と思っていました」との奥様の想いを凝縮したキッチンです。このキッチンにあわせ、ブラックチェリーでつくった台所と、名前の通り可動式の階段箪笥は家に併せて家具作家さんに特注したもの。家具を買い揃える替わりに、ポイントとなる家具をこうしてオーダーするというのも、家づくりの仕上げとして素敵なことになるのだな、と発見の多い0邸でした。